西東三鬼の俳句
季語のリンク先には例句・貫田峰句を集めてみました
目次
春
夏
片陰の家の奥なる眼に刺さる
算術の少年しのび泣けり夏
父のごとき夏雲立てり津山なり
中年や独語おどろく夜の秋
みどり子の頬突く五月の波止場にて
麦飯に拳に金の西日射す
緑蔭に三人の老婆わらへりき
秋
食へぬ茸光り獣の道せまし
(茸)
死後も貧し人なき通夜の柿とがる
(柿)
富士高く海低し秋の蝿一匹
(秋の蝿)
木犀一枝暗き病廊通るなり
(木犀)
秋の暮大魚の骨を海が引く
老いて割る巌や金柑鈴生りに
木の実添え犬の埋葬木に化れと
耕せり大秋天を鏡とし
中年や遠くみのれる夜の桃
葡萄あまししづかに友の死をいかる
実ばかりの朝顔おのれ巻きさがる