里古りて柿の木持たぬ家もなし 松尾芭蕉
渋かろか知らねど柿の初契り 加賀千代女
舂くや老木の柿を五六升 与謝蕪村
頬ぺたに當てなどすなり赤い柿 小林一茶
柿一つ枝に残りて烏哉 夏目漱石
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
柿の花ほろほろこぼれおつる下に参りて 河東碧梧桐
よろよろと棹がのぼりて柿挟む 高浜虚子
山柿や五六顆おもき枝の先 飯田蛇笏
豆柿の熟れる北窓閉しけり 室生犀星
柿盗りを全樹の柿がうちかこみ 橋本多佳子
死後も貧し人なき通夜の柿とがる 西東三鬼
行楽の眼に柿丸し赤や黄や 川端茅舍
柿もぐや殊にもろ手の山落暉 芝不器男
尾崎紅葉
芥川龍之介
傘越しにしずく滴る柿赤し 貫田峰